「肋膜炎及び腹膜炎・病患と医学の誤謬」

2020.05.29 Friday 07:14
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    次に、湿性は最も多く、化膿性は次で、乾性肋膜は極稀で、普通乾性肋膜炎と診断された患者は、私の経験によればほとんど肋間神経痛を誤診されたのである。
    ここで、肋間神経痛について説く必要があるがこの病気は非常に軽重があるのである。
    そうして肋膜炎と誤られ易いのも特徴である。重症は呼吸すらも痛みに堪えかねる位である。
    これも放任しておけば、発熱と喀痰によって、全治するのであるが、医療は湿布、氷冷、注射等のあらゆる固め療法を行うから、一時治癒しても必ず再発するのである。
    そうして、右に述べた三種の肋膜炎及び肋間神経痛の症状としては、深呼吸をすれば、痛みのある事と、息苦しいのが特徴で、その他盗汗(ねあせ)、多睡眠、眩暈(めまい)等がある。
    次に腹膜炎は、肋膜炎とよく似ている病気で、やはり湿性と、化膿性の二種あるが、乾性はないのである。
    湿性は、腹膜に尿が溜るのであるが、これも利尿剤を用うる時は、既存療法中にあるごとく、漸次悪性となり、しかも穿孔排水療法を行うに至っては、その逆効果がはなはだしく、一回、一回より悪性となり、且つ膨満はいよいよはなはだしく、遂には、臨月の腹部よりも膨大するものである。無論こうなれば生命は失いのである。
    次に、化膿性は腹部が余り膨大せず、むしろ固結性であるから、一見普通の腹部と思われるので、医診においては、相当重症であっても発見出来得ない事がある。
    故に化膿性腹膜を肺結核と誤診さるる事さえあり、全く、事実とは思われない程であるが、私はしばしば経験して、おどろいているのである。
    もっとも、化膿性腹膜に浄化作用が起った場合、その症状が、発熱、咳嗽、吐痰、食欲不振、衰弱、羸痩(るいそう)等であるから、肺結核と誤るのもあるいは無理はないかも知れないが、患者は不幸なものであると共に、医学の診断法を改善したいものである。
    従って、こういう患者を私は、腹膜と腎臓のみを治療するにおいて、肺結核が全治した例を、しばしば経験したのである。
    そうして、この化膿性腹膜は、誰もが多少とも必ずといいたい程あるのである。
    恐らく無い人はない位であろう。これは、指頭で診断すればよく判るので、それは臍(へそ)の付近にグリグリがあるので、これは膿の固結である。
    そうして時々中毒するような、食事も摂らないのに腹痛があったり、下痢するのは、この固結の浄化作用である事を知るべきである。
    又、人により、何らの苦痛がないのもある。これらの人に対し指摘すると、驚く事がよくあるのである。
    そうして腹膜に膿結のある人は必ず顔色が悪いので、私は、経験上、顔色によって、化膿性腹膜の有無軽重を識る事がある。
    そうして腹膜炎の原因は勿論、腎臓萎縮であるから、腎臓が治癒されない限り、絶対に治らないのである。」 (「明日の医術 第2編」より)
     

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