「明日の医術 第二編 付録」

2020.09.12 Saturday 06:51
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    「私は、付録としてこの際ぜひ政府において実行されたいと思う希望を述べるのであるが、当局者及び専門家は固より大方の識者におかれても、私のここに説く所の論旨に関心を払われん事を冀(こいねが)うものである。」
    政府へ建議する
    「現在日本が直面しつつあるこの重大時局…即ち大戦争に勝ち抜く為には、今後の時局に即応しない古い機構は一大英断を以て改革すべきである事は、最早論議の余地はあるまい。
    政府においてもここに見る所あるか、事変以来今までに見られない程の革新的政策を次々行っているという事実は、まことに快心に堪えぬものがある。
    それについて私は、人的資源の問題に関し、この際一日も早く政府において実行すべきであると思う一つの案を提出せんとするのである。
    さきに詳説したごとく人的資源の問題を解決するには、何よりも罹病者を減少せしむるという事ほど、良策はないとして、それには真の治病の力ある医術を要求するのは勿論である。
    しかるに、政府は今日まで西洋医学のみに依存して他を顧(かえり)みないという実情は西洋医学以上の治病効果あるものは他にないと断定している為であろう。
    しかるにも拘わらず西洋医学的あらゆる方策を講ずるも、予期のごとき効果がないのみか益々悪化の傾向を辿(たど)りつつあるという事実であり、特に結核問題についてしかりである。
    私は政府に対し、この際一大改革を要望するものである。
    それは西洋医学以上の優れたる療法が民間にあるを知る事である。
    しかもそれらの者は黙々として日夜国民保健の為に努力し、絶大なる効果を挙げつつあるに拘わらず、未だ世に認められずして冷遇されつつある一事である。
    今日本は、戦力の増強に向って官民共に大進軍をなしつつある。
    これに対し私は西洋医学依存の夢から醒める事ほど右に対する効果はあるまい。
    否一日も早く目覚めない限り、国家の前途危しと言わざるを得ないと思うのである。
    それについて私は、最も容易にして有効なる一案を提唱したいのである。
    この方法によれば国民保健問題解決の端緒となるであろうと共に、この様な方法を必ず実行しない訳にはゆかない時の来る事を想うのである。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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