「不思議な事実」

2020.08.01 Saturday 06:26
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    「私は医家に関し、不思議に堪えない事実に常に逢着するのである。
    それは、本療法によって大病院又は大家が見放した重症が、奇蹟的に治癒した場合、患者は嬉しさの余りと、この様な素晴しい医術によって、いかに人々が救われるであろうかを想って、医家に向って詳細報告する事がある。
    しかるにその場合医家は何ら関心を払おうとしない。
    又医家の家族が本療法によって治癒した場合、ただ驚異するのみで、進んで研究しようという意志の発動がないのである。
    私としては西洋医学とは比較にならない程の治病効果を現実に示すにおいて、まず医師である以上、それを研究すべく積極的態度に出でなければならないと思うが、その様な事は今日まで更にないのである。
    しかるに、西洋の学者が何かを発覚した報告に接するや、大いに関心を払い、直ちにそれの研究に着手するというような事によってみても、日本の医家及び医学者がいかに西洋崇拝の根強く染み込んでいるかという事が解るのである。
    私は思う。日本の医家及び医学者は、医学上における偉大なる発見は、重に西洋人である事と日本人とすれば科学者以外には生み得ないと心に断定しているかのようである。
    勿論今日までの文化の大方はそうであったから、今もなおそうであるという先入観念に囚われているからであろう。
    私は、本医術の卓越せる事を、遍く知らしむべき第一歩としては、前述のごとき医家の狭い視野の是正こそ、何よりも緊要事であると思うのである。
    そうして機械や薬剤等のごとき、複雑なる施設も方法も必要としない、ただ人間の手指の技術によって、その診断と治病力の、卓越せる医術が、日本人の手によって創始せられたという事実を看過するという事は、不可解極まると思うのである。
    いかに驚異に値する効果を目撃するといえども、一顧だもしないという態度は、宗教的でさえあると思われる程である。
    自己が信仰する以外のいかなるものといえども、すべては異端者と見なす態度のごとくである。
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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