「科学と迷信」

2020.07.10 Friday 05:09
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    「そもそも、私の創成したこの日本医術なるものは機械や薬剤等のごとき物質を一切用いずただ手指の技術を以てあらゆる疾患を治癒するのである。
    手指の技術とは、実は人間特有の霊気を、手指に集注放射させるのであって、即ち霊を以て霊を治すという原理から出発しているのである。
    従って、非物質であるところの霊の作用であるから、人間の眼にも見えず、手にも触れないので、現代人のごとく唯物的先入観念に支配されている以上、非科学的に思われ易いのである。しかしながら一度施術するや、実に驚くべき治病力を発揮するので、初めて見た眼には、その不可思議に驚歎せざるを得ないのである。
    しかるにその根本原理を知るにおいていささかの不思議もなく科学的解説を為し得るのである。
    真の科学とは、勿論真理の具現であり、真理の具現とは、いささかの迷信も先入観念も潜在意識も混ずる事を許されないー事実そのものでなければならない。
    この意味において、私の治病法こそは実際に病気が治るのである。
    根本的に全く再発の憂のないまでに治るのである以上、私は科学であるというのである。
    しかるに、西洋医学の療法においては、その理論と形式において、実に治癒するがごとくみゆるに拘わらず、病気は更に治癒しない。
    又西洋医学の衛生や健康法は、まことに巧妙精緻を極めているが、それを実行するといえども健康は増進しないのである。
    見よ、文化民族の体位は低下し、衰亡の運命を示唆しているではないか。
    人類が医学に要望するその期待と、余りに隔絶している事である。
    この意味において西洋医学は現代における一種の迷信といえない事はなかろう。
    現代人は、口を開けば迷信の恐るべき事を言う。
    そうして、迷信は宗教や伝統の中にのみあるように思っているが、何ぞ知らん、最も進歩せりと思っている科学の部面においても迷信の在る事を知らねばならないのである。
    それは、真実ならざるものを真実と思惟し、何世紀にもわたって、漸次的に人間の常識とまでになってしまった事実である。
    そうして、世間よく、信ずるから治るというが、それは観念の援助によって効果を強めるという訳である。
    しかるに、私の医術に限ってそんな事は微塵もない。
    治療を受ける病者がいささかも信じなくてもよい。
    否大いに疑いつつ施術を受けても、その効果は同一である。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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