「心臓医術」

2020.07.08 Wednesday 06:27
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    「腎臓に次いで重要なる機能は、何といっても心臓であろう。
    従って、本療法によって心臓が健全になった場合、疾患及び全身機能、精神的方面等に対し、いかなる好影響を及ぼすかという事を説いてみよう。
    まず、腎臓の余剰尿が集溜する局所としては、肩胛骨(けんこうこつ)と脊柱との間が多い事はさきに説いた通りであるが、それはちょうど心臓の裏面に当る所である。
    故に、この毒結が心臓を圧迫している為、心臓の活動が妨げられるのは当然である。
    そうして心臓の活動の強弱はいかなる影響を与えるかというに、さきに説いたごとく、人体において心臓は火であり、肺臓は水であり胃は土であるという原理によって、それは次のごときものである。
    まず初め、心臓圧迫の毒素を溶解するにおいて、心臓の活動が旺盛となり、その結果として火素の吸収が増加するから、水である肺臓の活動が強化されるのは勿論である。
    ちょうど水を温める火力が強くなるようなものである。
    従って、肺臓の活動が旺盛になれば、結核患者の肺臓内に固結している毒素は、溶解排泄が速かとなるので、治癒が促進される訳である。
    又、肺臓の活動は胃の活動を促進するから、食欲は増進するので、両々相まって非常な効果を挙げ得るのである。
    そればかりではない、ここに見逃す事の出来ない事は、性格的に好変化が表われて来る。
    元来、心臓なる機能は、熱の本源である関係上、性格的には愛の湧出する機能である。
    故に、心臓の活動力旺盛は、愛の情動が盛んになる事で、性格が一変する訳である。
    その例として、肺患者の性格は押並べて愛の熱が淡く、理性の方が勝つという事で、私が幾多の肺患者を扱った経験によっても、争う事の出来ない事実である。
    それは心臓が弱い時は愛の熱が不足する。その為、水が温くならないという訳である。
    この意味において、この心臓医術によれば、肺結核の治癒は促進され、罹病者は減少するのであるから、結核問題解決に効果のある事は贅言(ぜいげん)を要しないのである。」 (「明日の医術 第2編」より)
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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