「小児病・病患と医学の誤謬」

2020.06.29 Monday 04:47
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    脱 腸
    この病気も小児には多いのであるが、老人にもたまたまあるのである。
    そうしてこの病気は、人により軽重がはなはだしく、軽症においては、成人するに従い自然治癒するが、重症は治癒が困難で、医療においては手術をなし、軽症は脱腸帯を使用させるのである。
    この病気の原因は腹膜部における局部的毒素溜結が腸を圧迫する為逸脱するか又は恥骨の左右のあなのいずれかの方が先天的大きい場合発(おこ)るのである。
    重症においては、男子は腸の垂下が睾丸にまで及ぶので、そういうのは治癒が困難である。
    この病気の手術は多くは結果良好であるから、私としても手術を推奨する事もある。
    そうして本療法においては、腹膜の毒素溜結を溶解し腸の活動を旺盛にさせるのであるから、相当の時日を要するが、ほとんど治癒するのである。
    又脱腸帯は相当の効果がある。
    その他の小児病としては、湿疹、皮膚病、頭瘡、顔面瘡等もあるが、これらも自然治癒が最も確実である。
    特に顔面瘡の場合、眼球を犯され、はなはだしきは盲目となるかと疑わるる程のものもあるが、これらも自然によって完全に治癒するのである。
    又、生れて間もなく嬰児(えいじ)が急に食欲減退すると共に嘔吐をする事がある。
    そうして嘔吐の際血液が混じている事がある。
    これはいかなる原因かというと、嬰児が母体から出生の際古血を飲下し、それが時を経て排泄されるのであるから、全部排泄さるれば平常のごとくなるのである。
    しかるに、原因を知らない医師も母親も、病的吐血と誤解し、おどろくのであるがこれは心得ておくべきである。
    その他の症状としては、不機嫌、不眠、憤(むず)かり、脳膜炎等であるが、これはさきに述べたから略する。
    以前私が経験した病気に面白いのがあった。それは抱くと必ず泣くという嬰児である。
    それはよく診査すると、肋間神経痛があったので、抱くとそこを圧迫するから痛む、それで泣くのであった。
    故に、その部を治療するやたちまち全治したのであった。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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