「耳鼻疾患・病患と医学の誤謬」

2020.06.11 Thursday 06:51
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    次にコカイン中毒であるが、これは最初鼻孔閉塞に対してコカインを吸収すると、鼻孔が開き爽快を感ずるので、ついに一種の癖となり中毒となるのであるが、これは慢性の結果、究極は頭脳を害し、死にまで到る事があるから注意すべきである。
    次に咽喉疾患であるが、感冒の際の咽喉疾患は感冒治癒と共に解消し、説く必要がないから咽喉結核を説く事にする。
    これは最初淋巴腺結核が漸次拡充移行し、遂に喉頭部から発声機能にまで及ぶのである。
    これは私の治療の頃確実に全治したのであるが、医療においては不治とされている。
    そうして重症になるに従い口腔閉塞し水さえ通らぬようになって衰弱死に到るのである。
    しかしながら何故に淋巴腺結核が喉頭結核にまで発展するかというと、それは初め淋巴腺付近に固結を生じ、浄化作用が起るや極力浄化抑止を行うので還元固結するから、淋巴腺へ集溜すべき後続毒素が集溜し得ないでその隣接部へ集溜し、漸次移行して喉頭部まで犯す事になるのである。
    しかるに最初淋巴腺部に固結発生し浄化の発った場合、放置しておく時は漸次膨大し終にそれが発熱と共にますます腫脹膨大し紅潮を呈し、ちょうどトマトのごとくなるのである。
    この際医師は大抵手術を行うが、その手術は非常に悪いのであって手術の為に折角集溜しつつあった深部の毒素の集溜が停止されるので、手術によって排泄されたと思う毒素は全部ではなく必ず若干は残存するのである。
    その証左として手術によって一旦治癒してもその局所に永く痛みが残り、又は隣接部に間もなくまた腫脹が出来るにみても明かである。
    こういう誤謬によって生命を失った患者の実例を書いてみよう。
    それは四十歳位の男子であったが、最初、淋巴腺部に固結が出来、それが発熱と同時に腫脹し始めた。
    それで早速、専門の病院で手術を受けた。
    手術の疵(きず)が治癒しない中、隣へ腫脹が出来、それをまた手術した。
    また隣へ出来た。また手術した。
    そうする中、最初右だけであったのが、今度は左へ出来た。
    又手術し、また出来るという具合で、そんな事をしているうちに段々衰弱した。
    そうして右のごとく、極力浄化作用の抑止をするので、毒素は外部への排泄作用を止めて、ついに内部へ集溜膨大するようになった。
    それは口腔内から咽喉へかけて腫脹はなはだしく終に咽喉部は腫れ塞がり、呼吸不能となって生命を失ったのである。
    しかるに、いかに腫脹が膨大しても、なお放任しておく時は、漸次赤き球状となってブラ下るのである。
    ちょうどこの際は赤き風船が下っているようである。
    こうなると間もなく自然に穿孔され、膿汁は驚く程多量に排泄されて、非常に速かに治癒するのである。
    そうしてかようにして治癒すれば、何ら痕跡が残る事がないのみか、全部排毒されるから再発はないが、手術で治癒した場合、必ず痕跡即ち、生涯醜い引吊りが残るのみか再発の危険もあるのである。
    これによってみても、自然療法が真理である事を知るであろう。
    又肺結核の末期に、よく喉頭結核が起る事があるが、これは悪性で治癒し難いのである。
    それはその頃は衰弱が極度に達しているからであって、医家においても、右のごとき場合、最後の宣告を下すのである。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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