「胃疾患・病患と医学の誤謬」

2020.05.25 Monday 06:18
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    しかし、胃痛には二種あって、凝結毒素が胃を圧迫する痛みと、凝結毒素が溶解する痛みとある。
    前者は満腹時に痛むのである。それは、満腹によって胃と凝結毒素と圧迫し合うからである。
    後者の場合は、溶解毒素が胃中に浸潤し胃壁の一部に滞溜している。
    それが空腹による胃縮小の為に痛むのであるが、重に前者は強痛、後者は軽痛である。
    胃痙攣の激痛は、前者に属し、第一浄化作用の極点に達した時即ち毒素凝結が最も硬化し、強度に胃を圧迫する為で、医療はモヒ(モルヒネ)の注射によって感覚を麻痺させ、一時無痛たらしめ、安静にして流動食を摂るのである。
    それが為、浄化作用が弱るから、毒素硬化は鈍り、又胃は、流動食によって弱化し、抵抗が弱まるから、一時小康を得るのである。
    又胸焼は、胃部の溜結毒素溶解のための局部的発熱である。
    次に、胃潰瘍の原因は、大部分消化薬の連続服用の為である。
    稀には大酒の為もある。それは消化薬が食物を柔軟にすると共に、胃壁をも柔軟にするからである。
    柔軟化した胃壁に食物中の固結物が触れると、そこが破れて出血する。
    それが胃潰瘍の出血であり、痛みを伴なうのである。
    そうしてその多くは、最初胃壁の一部に極微の欠陥を生じ、少量の血液が不断に滲出する。
    それが胃底に滞溜し、漸次増量するに従い、消化を妨げる事がある。
    又その出血が、胃壁から、外部へ浸潤し、胃以外の局所に滞溜し、又は腸の上部に滞溜する事もある。
    この滞溜が多量の場合、胃部より腹膜部にかけて膨満し、浄化作用によって嘔吐する場合、驚く程多量の血液を出すがその際の血液は、コーヒー色を呈し、熟視する時、多くの微粒状血液を見るのである。
    又この血液滞溜が幽門部を圧迫し、幽門狭窄を起す事もあって、その為嘔吐を促進するのである。
    これらによってみても、消化薬の害たるや、まことに恐るべきものがある。
    大酒の為の胃潰瘍は、実は大酒家は飲酒後又は飲酒中に、胃薬を用いる癖の人が多いので、そういう人は、酒の為よりも、胃薬の為である。
    それから極稀ではあるが、胃薬も用いず、痛み等もなく、何らの原因もなしに吐血又は小さな血粒が痰に混って出たりする事がある。
    この症状は医師も診断に困るのであるが、まず胃潰瘍に近い症状である。
    これはいかなる訳かというと、胃の一部に極微な腫物を生じ、そこから血液が滲出するのであるから、一時吐血等があっても放任しておけば自然に治癒するのである。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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