「胃疾患・病患と医学の誤謬」

2020.05.23 Saturday 06:26
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    「日本人に最も多い病気に胃病がある。この病気は世人も知る通り種々の症状があるが最初の発病はほとんど軽症であるに拘わらず、療法や摂生の誤謬の為、漸次慢性症状となり、一進一退の経過をとりつつ、終に、悪性に移行するというのが大部分である。
    故に、一度この病気に罹るや、軽症でも全治するのは極稀である。
    そうして最初は消化不良、胸焼、胃痛等の軽い症状である。以下詳細に説明してみよう。
    消化不良の原因は、先天的には然毒、後天的には尿毒、薬毒及び食事の方法の不適正等によるのである。
    そうして始め、右の然毒又は尿毒が胃の外部に集溜し、それが漸次固結となって胃を圧迫する為、胃は萎縮して活動が遅鈍となり、消化不良となるのである。
    次に、今一つの原因である食事の方法の不適正とは、近来、医学が唱える食物の量と、食事の時間を規則正しくせよという事で、これが非常な誤りである。
    何となれば人間は機械ではないのと、食物なるものは不同であるからである。
    それはどういう訳かというと、食事と食事との間の時間中、運動をする事もあれば、運動をしない事もある。
    それによって食物の消化に差異が生ずるのは当然である。
    又、食物においても、その種類によって、消化に遅速あり、一時間で消化する物もあれば、三時間以上費す物もある。
    故に、規則正しくするにおいては、食事の時、空腹である事もあれば、未だ空腹にならない事もある。
    空腹ならば食欲旺盛で消化は良好であるが、未だ食欲が起らないのに、時間であるからといって無理に食物を摂れば悪いに定(き)まっている。
    それは、前の食物が停滞して居る上に、新しく食物を入れる場合、前の食物は腐敗醗酵しているから、その毒素の為に、新しい食物の消化は、妨げられるのである。
    しかもそれが又消化しきれない内に、又時間が来たといって仕方なし食うという具合で、漸次消化不良となるのである。
    故に正しい食事の方法とは、前の食物が充分消化し尽してから食事をとるのである。
    そうして、前の食物が消化したか否かは、食欲といういとも正確な指針があるから間違いないのである。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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