「病患と医学の誤謬」

2020.05.20 Wednesday 05:32
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    そうして、手術除去をすすめるのであるが、何ぞ知らん、除去しなければならない程に膨大させたのは、誤療の結果である。
    そうして、この様に膨大した扁桃腺は、発病するや激烈なる浄化作用が起るから、高熱は勿論の事、患部の腫脹はなはだしく、喉頭は閉鎖され、はなはだしきは、水一滴さえも飲下する能(あた)わざる程になるのである。
    かような悪性扁桃腺炎を恐るるが故、除去を勧むるという事になるのである。
    しかるに自然治癒によれば、扁桃腺炎は、一回より二回、二回より三回というように、漸次軽症となり、ついに全く扁桃腺炎は発病しない事になるのである。
    こで、脳貧血について一応説明しておこう。
    これは扁桃腺炎に関係があるからである。
    それは仮に、頸部淋巴腺に集溜する毒素が、その排泄口である扁桃腺が失(な)いとしたならどうなるであろう。
    それはそのまま淋巴腺付近に停溜固結する。その固結が頭脳に送血する血管を圧迫するから、頭脳の血液が不足する。
    それが脳貧血であり、神経衰弱でもある。頭脳が朦朧(もうろう)として圧迫感や不快感等の患者が、近年非常に多いのは全く右のごときが原因であることもすくなくないであろう。
    そればかりではない。
    扁桃腺を固結させるか、又は除去した場合、淋巴腺集溜毒素は出口を他に求めるの止むなきに至る。
    それは、反対の方向に流進して排泄されようとする。
    即ち耳下腺を通って中耳に到り、鼓膜を破って排泄されようとするのである。
    その際、高熱によって液体化した毒素は耳骨を穿孔しようとする。
    その痛みと発熱を中耳炎というのである。近来、中耳炎患者の増加したのも全く右の原因による事もあろう。
    扁桃腺炎なら、軽症で済むべきものを、医療はより重症である中耳炎にまで発展させる訳である。
    そうして中耳炎の場合必ず氷冷法を行うから、液体毒素は方向を転換するのである。
    即ち中耳に向って流進していたのが、頭脳に向って転進するのである。
    これを医師は「中耳炎に因る脳膜炎」というのである。
    かように扁桃腺炎を中耳炎に発展させ、ついに脳膜炎まで起させるというのは全く驚くべきである。
    次に、盲腸炎について説明してみよう。これも近来非常に多い病気であって、扁桃腺炎と同じく手術除去を奨めるのである。
    そうして医学では多く食物に原因を置いている。
    彼の、葡萄の種が原因という学説であるが、私はいつも嗤(わら)うのである。
    葡萄の種位で盲腸炎が起るとすれば、柿の種や魚の骨など嚥下(えんか)したら即死するであろう…と。
    そうして医療においては、最初氷冷によって浄化を停止し、還元させようとするか又は温めるかないしは直ちに手術を行うのである。
    そうして速かに手術せざれば化膿し、虫状〔様〕突起が破れて急性腹膜炎を起すというが、これも誤りである。
    そうして、盲腸手術の結果予後良好で、健康時の状態となったとしても、慢性腹膜炎及腎臓病が起り易くなるのである。
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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