「咳嗽及び逆上」

2020.05.11 Monday 06:01
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    「咳嗽(がいそう)は、さきに詳説したから、ここでは二、三補遺として説くが、咳嗽の原因は身体あらゆる局部にある事は既に説いた通りである。
    そうして医学が、咳嗽の原因を咽喉が悪いとしているのは、あまりにも見当違いである。
    故に咳嗽を止めようとして吸入法を行うが、無効果である事も、既に述べた通りである。
    ただここでは強い咳嗽と弱い咳嗽の原因を述べてみるが、強い咳嗽とは、喀痰の濃度であるのと、喀痰の多量である為め、吸引に力を要するからである。
    それに反して軽い咳嗽は、喀痰の稀薄と少量なるためである。
    軽い咳嗽の場合、全然喀痰をみない事もあるが、これは微粒であるからであって、かようなのは大抵、咳嗽後相当の時間を経て、少量の喀痰があるものである。
    そうして、咳嗽の原因である喀痰は、意外な局所から出る事がある。
    それは脚部又は頭脳及び顔面であって、これらは医学では想像もつがないであろうが、私が治療の際、右の部の毒素溶解法を行うや、間髪を容れず咳嗽が出るにみても、疑の余地はないのである。
    次に、逆上(のぼせ)とはいかなる原因であるか、これも世人が考えるような、血液が逆上するのではないので、顔面部に溜結する毒素の浄化作用としての、その部の発熱である。
    勿論、紅潮を呈するのは熱の為であって、右の毒素を溶解するにおいて、治癒するのである。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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