「痛 苦」

2020.05.04 Monday 19:46
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    「痛苦即ち痛みなるものはいかなる訳であるかというに、前にも述べたごとく浄化作用の発熱によって凝結毒素が溶解され、液体となった毒素が、いずれかに出口を求めて、その方向に進まんとするその運動が、筋肉の神経を刺戟する。・・・それが普通の痛みの原因である。
    以上のような痛みの症状は、盲腸炎、急性腹膜炎、急性腎臓炎、頭痛、歯痛、中耳炎、リョウマチス、各種神経痛等、実に多種多様である。
    又、骨膜炎と名付けられている骨に関する痛みの原因は、骨膜に凝結した毒素が浄化によって溶解し、それが移動する場合、骨膜から筋肉へ進み刺戟するのである。
    又、骨膜の裏面にある毒結が、浄化溶解して表面へ滲出せんとして、骨そのものに極微な穿孔をする。
    その穴の数は毒素の量によって多少があるのである。
    勿論、その数の多いほど激痛である。肋骨カリエス、中耳炎、歯痛等その他骨髄炎といわれるものはそれである。
    この無数の穿孔ある場合、医家は骨が腐るというのであるが、それは誤りである。
    何となれば、毒素が溶解除去された後は、旧(もと)通り完全になるからである。
    次に、特殊の痛み、例えば、手指のひょう疽、足指とその付近における脱疽の痛み、痔瘻等の痛みは勿論、浄化作用による毒結の排泄であるが、これらは非常に猛毒であるから激痛である。
    これは第一浄化作用をまたずに、第一、第二、両浄化作用が同時に起るのであるから、浄化力旺盛な青年期に多いのである。
    これらの病気に対して、医家は漸次隣接部に移行腐敗するというが、これも全然誤謬である。
    私の多数の経験によれば、ある程度毒素が集溜すれば、それ以上増大する事は決してないのである。
    そうして、充分集溜腫脹(しゅちょう)して自然穿孔され、そこから膿汁毒血が排泄されて完全に治癒するのである。
    しかしながら、その症状は一見腐敗するごとく見ゆるので、医学においては、腐敗すると誤ったのであろうが、その為に切開手術を行い、一種の障害者たらしむるのである。
    繰返していうが、私の永年の経験によって、脱疽とひょう疽は、腐敗はしない事をここに改めて断言しておくのである。
    次に胃痙攣の痛みは別であって、これは、胃病の部で説いてあるから、ここでは略しておく。
    その他、火傷や負傷等もあるが、これは病気ではないから、時日の経過によって、必ず自然に治癒するものである。
    もし痛みが永続するか、治癒しない場合は、その原因は消毒薬等の為であるから、薬剤を廃して、患部を清水に洗うだけで自然治癒するのである。
    右のごとく、病気による痛苦には多種多様あるのであるが、その原因のほとんどが薬毒の為である。
    薬毒の種類によって、痛みや症状が異うのである。
    そうして私の経験によれば、漢方薬は広範囲である事と鈍痛が特色であり、洋薬は多く鋭痛で、稲妻型、針刺型、錐揉(きりもみ)型等が多く、又局部的であるのが、特異性とでもいうべきである。
    特に、注射の薬毒は激痛の原因となることが往々あるのである。
    次に、薬毒以外尿毒の痛みもあるが、これは多く軽痛である。
    又、然毒はほとんど痛みがないので、医学は先天性黴毒と思い誤ったのであろう。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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