発 熱

2020.05.03 Sunday 16:55
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    従って、病気発生するや発熱するという事は疾患部の凝結毒素を溶解せんが為、必要量の熱即ち火素を心臓が霊界から吸収するのである。
    即ち心臓の鼓動は、霊界から火素を吸収するポンプ作用である。発熱時より先に、心臓の鼓動即ち脈拍が増加するのは、火素吸収が頻繁になるからである、
    その際の悪寒は、浄化に必要な熱量を吸収する為、一時体温の方への送量を減殺するからである。
    故に、下熱するという事は、毒素溶解の作用が終ったのである。
    右のごとくであるから、心臓が一瞬の休みなく、霊界から火素を吸収する。…それが体温である。
    又、肺臓も空気界から水素を呼吸によって不断に吸収しているので人体内の水分は、口から飲下する以外、肺臓の吸収によって得る量も頗る多いのである。
    右の理によって人の死するや、瞬時に体温は去って冷却し、水分も消えて、血液は凝結し、屍(しかばね)は乾燥し始めるのである。
    右を説明すれば、死と同時に、精霊は肉体を脱出して霊界に入るのである。
    故に、精霊の火素が無くなるから、水分は凝結するのである。
    言い換えれば火素である精霊は霊界に還元し、水分は空気界に還元し肉体は土に還元するのである。
    次に、ここで注意すべき事がある。
    それは、熱を量(はか)るに体温器を用いるが、医家も世人もこの方法は完全と思っているが、私からいえば頗る不完全である。
    何となれば左のごとき理由によるからである。元来発熱の場合、その発熱の根拠は、実は一局部である。
    しかるに世人は全身的と想っているが、それは大いなる誤りである。
    私が治療の際、四十度位の高熱者を診査する場合、指頭位の固結の浄化作用が原因であるので、その固結を溶解するや、全身的に忽ち下熱するのである。
    そうして強度な浄化作用は全身的に発熱するが、弱い浄化作用は局部的放射状であって、その局部の周囲(勿論大小はあるが)以外は無熱である事である。
    従って、体温器を腋窩(わきのした)に挟む場合、その付近の病気、例えば腕の付根の毒結の浄化作用又は肋間神経痛等があれば有熱となって現われるが、その際離れたる股間、腎臓部、頭部等は無熱である。
    故に、実際上、右の腋窩と左の腋窩によっても多少の差異がある事で、はなはだしきは五分位差異のある人がある。
    右のごとくであるから体温器による計熱法は不完全であるというのである。
    しかるに、私が行う計熱法は、いかなる微熱といえども発見し得らるるのである。
    それは掌を宛(あ)つれば一分の十分の一の微熱といえども明確に知るを得るのである。
    しかし、これは相当熟練を要する事は勿論であるが、普通一年位経験すれば何人もなし得らるるのである。
    次に高熱に対して氷冷法を行う事がいかに誤謬であるかを説明してみよう。
    即ち人体適正の体温は三十六度ないし七度であるという事は、その程度の体温が生活機能に適合しているからである。
    しかるに氷冷をするや氷の温度である零度になるから、その氷冷を受ける局所の機能の活動は、著しく阻害せらるるのは当然である。
    この理によって脳溢血、肺炎、窒扶斯(チフス)その他の高熱病に対し医療は必ず頭悩の氷冷を行うが、それが為頭脳は氷結状となるから麻痺的貧血状態に陥り機能の活動に支障を及ぼすので、本来の病気によらずして、氷冷の為に斃(たお)れる事が多いのである。
    氷冷は、右のごとき悪結果を招くのみか、浄化作用を強力に停止すべきものである以上、これだけは絶対に廃止したいものである。
    今一つ重要な事がある。それは下熱剤の反動作用である。
    この事は恐らく専門家は固より世人は夢にも思わないであろう。
    これはどういう訳かというと、ある病気に対して連続的に下熱剤を使用する場合、大抵一週間以上にわたると、反動作用が徐々として起る事である。
    それは、下熱剤の作用に対し、反動作用が発生するのである。恰(あた)かもある物体を圧迫すると反撥力が起るようなものであって、下剤を用いる程便秘を起し、利尿剤を持続すると反って尿量を減ずると同一の理である。
    故に、発熱するから下熱剤を用いる。下熱剤を用いるから発熱するというように繰返すにおいて最初三十七、八度の熱がついには四十度以上の高熱にさえなるようになるのである。
    かくのごとき場合、医家は原因不明の熱として大いに困難するのである。
    肺患者の執拗な熱は、右のごとき原因が頗(すこぶ)る多いのであって、下熱の目的を以て下熱剤を用い、その結果が反って発熱の原因を作るという事は、未だ気がつかない事とは言いながら、まことに恐るべきであると言えよう。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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