「医学とは何ぞや」

2020.04.28 Tuesday 06:37
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    故に、多くを言う必要はあるまい。
    即ち西洋医学は、あらゆる病気に対し確実に効果があり、悪影響などは更にないという事を実証するより以外、国民をして西洋医学に対し、全的信頼を為さしむる事は不可能であろう。
    故に、万一右のごとき効果が実現さるるとしたら国民の方から進んで注射を要望すると共に、手術の躊躇(ちゅうちょ)なども解消するであろう。
    勿論、古代印度人が創成した灸治法も、二千余年前中国人が創成した漢方医学も、現在の民間療法も跡を絶つであろう事は勿論である。
    しかるに事実は右と反対であるに拘わらず、西洋医学の進歩を云々(うんぬん)するのであるから、そこに割切れない何物かが残るのである。
    私は、今一つ重要な事を言わなくてはならない。
    それは今現に行いつつある健民運動と結核対策要綱である。
    これらは勿論、西洋医学的方法以外には出でないのであるから、その結果はどうであろう。
    それは医家の家族の健康水準より以上の成績は挙げ得られないではないかと想うのである。
    何となれば、医家に最も接近している家族が、一般世人の水準より以上に出でないとすればそうなるべきであろう。
    従って多額の国帑(こくど)を費やし、多数の人的資源をそれに充てるという事が無意義に終らざる事を冀(ねが)ってやまないものである。
    右について、本医術の治療士及びその家族、もしくは本医術の修得者ある家庭は、例外なくいずれもその健康が世間一般の水準よりも遥かに高度である。
    全く百万語の理論よりも、一の事実に如(し)かずというべきであろう。
    しかもそれが年月を経る毎に益々健康は増進し健康家庭が作られつつあるのである。
    従ってこの事によってみるも、本医術こそは理想的医術として真に人類の福祉を増進すべきものであり、病無き世界の現実化は遠い将来ではない事を私は信ずるのである。」 (「明日の医術 第2編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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