「南洋馬鹿」

2020.04.17 Friday 05:59
0

    「近来、南洋馬鹿という言葉が多くの人の口から唱えられている。
    それはいかなる訳かというと、南洋に暫くいると頭脳が非常に悪くなるという事であって、その原因は不明とされている。
    これについて私の解釈を書いてみよう。
    右の原因は、全く注射の為である事はいうまでもない。
    誰も知るごとく、南洋へ行く将兵は固より、すべての人に対し、熱帯病予防の為として強制注射を行う。
    しかるに、その薬毒は南洋の強烈なる太陽に照らされる部分は頭脳であるから、そこに集注するのは勿論である。
    そうして普通一、二ケ年後に浄化作用が発生し初めるので、ちょうど内地へ帰還頃発生する順序になる訳である。
    この症状としては、頭脳が朦朧(もうろう)として散漫になり易く、神経集注が困難になるから、緻密な仕事は出来にくくなるのである。
    それが為、出征以前の業務につく事能(あた)わざる勇士が非常に多いそうである。
    私は言うのである。
    今後、南洋に赴く人にして、内地へ帰還後、以前と同様の健康を保ち得る者はまことに少ないであろうと。
    右のごとき事実は、決して誇張ではない事を、本医術の理論を知るにおいて何人といえども肯かるるであろう。
    今後、大東亜共栄圏を建設し、八紘為宇の大業を完成せんとする我ら皇国民の中堅分子たる青壮年層が以上のごとき西洋医学の犠牲となる惧(おそれ)あるという事は、まことに恐るべき事ではあるまいか。」 (「明日の医術 第1編」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
    Comment