「肺結核治癒の過程」

2020.03.15 Sunday 06:38
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    次に、第三期以上の結核に対し、解説してみよう。
    結核治癒の過程において、他の疾患に見るを得ない特異性がある事である。
    それは第三期以上の患者に限るといっていいので、それについて私は説明してみよう。
    まず、三期以後の結核患者が本治療を受けるや、非常なる好結果を顕わし、短時日にしてすべての病的症状は軽快し、全快期の幾(ちか)きを想わしめ歓喜していると、急に高熱、咳嗽、喀痰、食欲不振等の症状が次々発生するので驚くのである。
    そうしてこの再発的症状は頗る執拗ではあるが、治療により病毒が排泄し、症状が軽減するに拘わらず、衰弱の為斃(たお)れるという例がよくあるのである。
    右はいかなる訳かというと、結核患者が、最初発生した浄化作用を医療によって抑圧するので、浄化力は漸次微弱となるから、一時は快方に向うごとく見ゆるのであるが、真の治癒ではないから、遂には一進一退の経過を持続しつつ、いつ快方に向うや見当がつかなくなるというようになるが、多くはそのころ本療法を受けるのである。
    その場合、最初の浄化作用以後追増した毒素を溶解するので、一時的効果が顕われるので、従って、患者は食欲増進し、徐々ながら運動も行うから、漸次浄化力が再現し最初の浄化作用発生時と同様の状態となるのである。
    しかるに、最初の浄化作用発生時のごとき健康状態であれば、浄化作用終了まで体力が充分持続なし得る為全快するのであるが、長時日の誤療によって衰弱したのであるから、一時軽快したといえども、旺盛なる浄化作用に堪え得られずして、衰弱死に到るのである。
    故に、三期以上の結核患者を治療する場合右のごとき悪結果を来さない為にはどうすればよいかという事を書いてみよう。
    まず、一旦軽快して再浄化が起った場合、それは例外なく左の症状を呈するものである。
    それは、左右いずれかの延髄部が特に腫脹しており、そこに高熱の発生がある。
    そうして右が腫脹していれば右の腎臓部に大固結があり、左が腫脹していれば左の腎臓部に大固結があるものである。
    従って、延髄部が両方相平均している人は稀である。
    勿論、一方の腎臓部に固結がある場合、他の腎臓部も若干は必ずあるものである。
    又腎臓部に固結があれば、化膿性腹膜炎が必ずあるものであって特に結核患者は著るしいのである。
    それが又食欲不振の原因でもある。
    故に、再浄化発生の場合、まず第一に腎臓部の固結が溶解縮小しただけは、延髄部と腹膜部の毒結は、非常に溶解し易くなるのである。
    そうして右のごとく腎臓部を第一とし、延髄部、腹膜部を次とし、胃部、肝臓部等の治療を行うのであって、場合により一日数回位行うもよくそうする事によって極めて好結果を挙げ、順調なる治癒過程をとるようになるから、三期といえども全治するのである。
    右のごとく、腎臓を主とする治療によって結核は完全に治癒するのであるから、もし意のごとき好結果の表われない場合、
    それは腎臓部の毒素溶解が不充分であるから一層、腎臓部の治療を徹底さすにおいて、初めて予期の成果が顕われるのである。」 (「明日の医術 第1編」より)
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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