「結核は絶対に感染しない」

2020.03.11 Wednesday 06:31
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    「今日、結核は伝染するものとして非常に恐れられ、それが為種々の方策が講ぜられているが、その繁雑極まる事と国家及び個人の負担の莫大なる事等は実に驚くべきものがある。
    故に何人といえどもその伝染を恐れ親子夫婦といえども親しく接近し語り合う事さえ医師から禁ぜられている。
    家庭内において一度結核的罹病者発生するや、家族全部が戦々競々としていつ伝染するやも知れずと危倶しつつ日を送るという…その陰惨なる状態は見るに堪えぬものがある。
    なるほど事実感染するものならばいかなる手段方法をつくすも生命には換えられないから致し方ないとするも、私の発見する所によればそれは決して感染する憂はないのである。
    医学で唱える結核菌なるものは伝染するのではなく自然発生である。
    それはいかなる訳かというとさきに詳しく説いた液体毒素即ち喀痰が速に排泄さるるにおいては何ら微生物は発生しないのであるが、誤れる療法によって喀痰は肺臓内に停滞し固結する。
    この固結した喀痰は時日を経るに従い腐敗するのである。
    いかなるものといえども一度腐敗すれば小虫又は微生物が発生するのは原則である。
    たとえば木材が腐敗すれば白蟻が涌く、いか程精白した白米といえども古くなれば必ず蛆(うじ)が涌く事は人の知る所である。
    この様に腐敗する所無機物から有機物が発生する。
    白米に蛆が涌くのは蛆の卵が他から侵入したものではないのは勿論である。
    故に結核菌といえども自然発生するのであって絶対に伝染するものではないのである。
    これは今後一層科学が進歩発達するにおいて、非伝染という事を発見するに到ると私は信じている。
    又、感冒についてさきに説いたごとく各局所の凝結毒素の浄化を停止する為に還元して再凝結した毒素にも結核菌が自然発生するのである。
    瘰癧(るいれき)、腎臓結核その他結核性何々という疾患は右の理によるのである。
    右の説を実証する為私の経験を述べてみよう。
    私の家族は私ら夫婦の外に子女が六人助手その他の使用人数人合計十数人は常に居たのである。
    そうして十数年の間に重症肺結核と診断された患者を常に一人か二人同棲させて治療したのである。
    少くとも弐拾数人はあったであろう。
    勿論一切家族と同様に扱ったので食事の時も食卓を倶(とも)にし食器等も何ら消毒を施さなかったのである。
    それは治療の為と私の説の実験をする為との二つであった。
    その内の数人は私の家で死去した位であるからいずれも重症の者ばかりであった。
    大病院で結核と断定され治癒の見込なしと刻印を付せられたものばかりであった。
    しかるに今以て誰も感染した者はない。
    いずれも健康そのもののような者ばかりである。
    この実験によってみても伝染しないという事は何ら疑を挿む余地はないのである。
    なお私はいつでも結核菌の感染を試験して貰いたいのである。
    私自身でも私の家族の誰にでも感染するよう実験してもらいたい事を望むのである。
    喜んで試験台に応ずるものである。
    右のごとき細菌の自然発生説に対して現代の科学者は嗤(わら)うであろう。
    何となれば、彼の独逸の有名なコッホ博士と並び称せられるフランス細菌学の泰斗パスツールによる細菌発見によって、
    それまで一般学者によって支持せられていた自然発生説が覆えされたからである。
    それはパスツールが、微生物は自然発生ではなく空気の伝播に因るものであるという理論を実験したのであった。
    それは羊肉の搾(しぼ)り汁を二つのガラス瓶に入れた。
    一つは口の曲れるもの一つは口の真直なるものであった。
    しかるに、口の曲れる方は微生物が発生していないのに真直な方は微生物が発生していたという事実であった。
    それ以来自然発生説は消滅し空気に因る発生説が信ぜられ今日に至っているのである。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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