「肺結核」

2020.03.09 Monday 07:01
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    私はかような悲しむべきことをなおも続けて書かなければならない。
    結核患者が絶対安静によって無熱になった場合、たまたま少しの運動をしても直ちに発熱する。
    この際医師は驚いて運動を戒めるが、これらも誤謬による反対理論である。
    即ち安静に因る衰弱、浄化停止の為の無熱であるから運動をすれば浄化作用が起り発熱するのは当然である。
    従って医家は結核を治癒するとは言わないで固めるというのである。
    これは誰も知る所であろう。
    しかしながら、いかなる病気といえども真の治癒とは病原である固結毒素を溶解し、全部排除させ残存せる毒素の無いようにする事でなくてはならない。
    かように治癒するにおいて、病気快復後いかなる作業をするといえども決して再発はしないのである。
    しかるに現代医学においては固め療法であるから、結核治癒後といえども再発を恐れ何ケ月又は何ケ年にも及ぶ期間業務につく事さえ不可能である。
    実に結核患者が長期間能う限り医師の指示を守って慎重に固め療法を行い、ようやく恢復し得たと喜んだのも束の間俄然再発して又初めからやり直しというような悲惨なる例も少くない事は多くの人の知るところであろう。
    全く固め療法の結果である。
    ここで、肺浸潤について説明するが、これは肋骨及びその付近に溜結せる毒素が熱によって溶解され、肺膜から肺臓内に浸潤し喀痰となって排泄されようとするそれを名付けた病気である。
    故にそのまま放任しておけば順調に毒素は排除されて治癒するのである。
    しかるに、医家も患者も結核の初期のごとく恐れて種々の加療即ち浄化作用の抑止をするのでついに難症に陥るのである。
    次に医家の診断で肺尖加答児(はいせんカタル)及び肺門淋巴腺といわるる患者を診査するに、その原因はほとんど肩の凝りである。
    第一浄化作用である肩の凝りが、第二浄化作用によって発熱し肺患的症状を呈するのである。
    これらも肺に何ら異状はないので、放任しておけばその毒素は溶解し、それが肺尖から肺臓内に浸潤し喀痰となって排泄され治癒するのである。
    しかし肩の凝りというと老人に限るように思うであろうが近来は青少年は固より幼児に到るまで非常に多いのである。
    今一つ重要な事がある。
    それは現在医学の理論では過労が結核の重(おも)な原因の一つとされている。
    そうして過労の結果抵抗力が薄弱になるからというのである。
    しかしながらその解釈は全然反対である。
    それはどういう訳かというと、過労する位運動をすれば浄化作用が起るのである。
    ここで疲労なるものの説明をする必要があろう。
    即ち疲労とは運動の結果当然起る所の浄化作用の発熱の為であるから健康上疲労は良いのである。
    いわば浄化作用の促進方法である。
    医学においてさえ健康増進の為運動を奨励しているではないか。
    しかし、医学では適度の運動というがそれは浄化作用の起らない程度をいうのであろうがそれでは効果が薄いので、実は浄化作用の起る程度が良いのである。
    勿論発熱する事はそれだけの毒素がいずれかの局部に存在するからでそれによって毒素は軽減するからよいのである。
    故に有毒者ほど発熱し易いから疲労するのである。
    この理によって、運動によって疲労感を繰返すにおいて次第に毒素は軽減し健康は増進さるるのである。
    滑稽なのは疲労の原因は過激な運動によって一種の毒素が発生するからだという学説である。
    右の理によって浄化作用旺盛者即ち発熱し易い疲労者は抵抗力強盛によるからである。
    故に医学上の理論のごとく抵抗力薄弱者が結核に罹り易いとするなれば、疲労し易い老年者ほど結核に罹らなければならないはずである。
    にも係わらず事実は最も元気旺盛である青年期ほど罹り易いという事は全く青年期が最も浄化作用旺盛であるからである。
    又右の理をヨーロッパの現状に当嵌める事ができる。
    それは日本人に特に結核の多いという事は白人よりも体力が未だ旺盛で浄化作用が起り易いからである。
    再三説いたごとく浄化作用によって結核の初期的症状が起るのであるから青年期に多い訳である…
    とすれば白人は体力低下によって浄化作用微弱の為結核が起り得ないという訳である。
    その原因としては種痘法施行が日本より数十年早いからである。
    判り易くいえば白人は青年期であっても老年のごとくなってしまって結核が起り得ないという訳で、その最もはなはだしいのはフランス人である。
    ナポレオン時代にあの位元気盛んであったフランス人が今日はどうであろう。
    青年的元気や活力は消耗し老人のごとくただ安逸と享楽の生活を追うているという状態であった。
    それが今回の敗戦の因となったのは周知の通りである。
    しかるに日本はヨーロッパより種痘法が後れた為幸いに浄化力が未だ相当残っているから、それが日本には結核が多いという真因である。
    しかるにそれに対し、結核防止の施策が奏効して白人に結核が減少したものと解して当局はヨーロッパと同様の対策を実行しているのである。
    故に日本も現在のまま推移するにおいていずれは今日の白人のごとき結核患者激減の状態になるであろう。
    しかしそうなった暁、結核防止に成功したと医学衛生を讃美するであろうと思うのである。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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