「肺結核」

2020.03.08 Sunday 08:11
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    「この病気の現在日本における趨勢は右のごとくであるにみて、いかに急迫せる状態にあるかという事である。
    読者よ、なぜ肺結核がかくのごとく増加しつつあるかという事は、私の発見によればその原因が全く現代医学の誤謬に在るという事である。
    それは、現代医学の結核防止の対策それ自体が結核を増加するという逆効果となっているのである。
    赤裸々にいえば、現代医学が結核患者の大量製産を行っている訳である。
    嗚呼かくのごとき説は現代人として信じ得らるるであろうか…と私は惟うのである。
    しかしながら事実は飽くまで事実である以上いかんともなし難いのである。
    まず順を逐(お)うて詳説してみよう。
    今日医家の肺結核と診断する患者特に初期の患者は肺に病気はないのである。
    そのほとんどが誤診であるという事を私は断言するのである。
    今日医学上の診断としては種々あるが、まずラッセル(水泡音)の有無、マントウ氏反応、赤血球の沈降速度、結核菌の顕微鏡検査、レントゲン写真等であり、症状としては持続熱、咳嗽、喀痰、血痰、喀血、羸痩(るいそう)、盗汗、胃腸障碍、疲労感等であるが、それらについて説いてみよう。
    病気の真因の項目において詳説したごとく、感冒防遏(ぼうあつ)の結果、漸次身体各局所に然毒、尿毒、薬毒が集溜凝結するのである。
    しからばその局所とはいかなる所かというと、まず全身的ではあるが、大体は一定している。
    それは頸部の周囲、特に左右延髄付近、頸部淋巴腺付近、左右肩部(特に左側)左右の腋窩部即ち腕の付根、肋骨及肋骨付近の全部又は一部、左右横隔膜の下辺、胃部より腹膜部、鼠蹊(そけい)部淋巴腺(特に右側)左右肩胛骨(特に左側)の下辺及び脊髄の両側及び背面腎臓部等である。
    私が多くの結核患者を治療した経験によれば背面腎臓部及び腹膜特に臍の周囲に毒素溜結している者が最も多い事である。
    これが発熱、咳嗽、食欲不振、倦怠感等の原因となっており、これらを治療する事によって肺結核的症状が大いに軽減するのである。
    これによってみれば、医家が肺結核と断定せる患者は実は慢性腎臓炎と慢性化膿性腹膜炎が多い事が判るのである。
    医家の診断はこの腎臓部及び腹膜部の毒素溜結が発見出来ないようである。
    又この慢性化膿性腹膜炎の凝結せる毒素が発熱によって溶解し、それが持続的に下痢する場合医家は腸結核というのである。
    右のごとく各局所に溜結せる毒素が軽症は二、三ケ所位であるが、重症は全局所に及ぶものさえある。
    勿論、第二浄化作用による発熱が先駆となってそれによって溜結毒素は溶解し喀痰となり、咳嗽によって吸出されるのであるが、その際喀痰は必ず肺臓を通過して気管から咽喉に向って排泄されるのである。
    故に自然に放置しておけば、液体毒素即ち喀痰は順調に肺臓を通過して排泄されるのである。
    しかるに喀痰が肺臓通過の際一旦一時的肺胞内に停滞する。
    それは咳嗽という吸出作用を待っているようなものである。
    しかるにこの時聴ゆる肺胞音それをラッセルというのであるが、勿論この場合肺そのものに異常はないのである。
    しかるに医家は右の症状によって肺患の疑を抱き、各種の機械的検査によって断定するのであるが、その後における療法が問題である。
    再三述べたごとく医療はことごとく浄化作用の抑圧であるから、せっかく肺臓を通過して排泄されようとした喀痰は通過の勢を挫かれ肺臓内に停滞する事になるのである。
    それは医療はまず絶対安静を奨める。
    この絶対安静ほど胃腸を弱らすものはあるまい。
    考えてもみるがいい、健康体でも絶対安静を一ケ月も続くるにおいて、第一に胃腸は睡眠し全身的に衰弱する事は瞭かである。
    次に薬剤を服用又は注射する。それらも毒素である以上衰弱に拍車をかける。
    又栄養と称し魚鳥獣肉や完成食餌を多く摂取させる。
    これも内臓機能を衰弱させる(食餌の栄養理論については別に詳説する)
    又清浄なる空気療法を推奨するがこれは相当の効果はあるが他の誤謬に依る方法に抹殺されてしまうのである。
    又サナトリウム療法による日光浴も近来推奨されるがこれは一利一害である。
    元来人間は、日光の射さぬ家屋内においては軽運動をし、日光の直射する戸外においては強運動を為す。
    それが自然であって、日光下に在る時は強運動即ち歩行又は労働をなし、発汗する位が自然の法則に適うのである。
    しかるに日光下において室内の動作よりも一層静止する場合、それは不自然であるからよいはずはないのである。
    右のごとく大体衰弱増進の各方法を施すにおいて、浄化作用は抑止せらるるから病的症状は軽減するので治癒に向うように誤解するのも無理はないのである。
    しかし実際の治癒ではないから次のようになるのである。
    即ち肺臓内を通過排泄せられんとした喀痰は全身衰弱によって吸出作用の咳嗽が減少又は無力になるから、喀痰はついに肺臓内に停滞するという事になるのである。
    しかも微少ながらも後続喀痰が肺臓に浸潤しつつ停滞毒素は漸次量を増すので、その結果肺臓内に喀痰の固結が成立するのである。
    それが呼吸困難の原因である。
    元来 肺臓は呼吸運動によって人間生体内に必要量の空気を吸収する機能である。
    故に肺臓内に固結が出来たとすれば、それだけ空気の吸収量が減殺さるる訳である。
    従って呼吸を頻繁に行わなければ一定量の空気の吸収は出来ない事になる。
    例えば十の必要量を二の妨害物によって、八だけしか吸収出来ないとすれば、百の空気を吸収する為には十回呼吸すべき所を十二回半呼吸しなければならないという訳である。
    そうして右の喀痰固結を医家が診断する時、それを結核、肺壊疽(はいえそ)、肺臓癌等の病名を付するのである。
    以上は一般的結核患者の普通辿るべき経過であるが、これによってこれをみれば最初何ら肺に異常の無かったものが、誤れる療法の結果真症の結核患者となり、ついには生命の危険に晒されるようになるのである。
    故に赤裸々にいえば現代医学が結核患者を増加しつつあるという理論になるのである。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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