「各国に於ける人口動態」

2020.02.26 Wednesday 07:44
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    次に、目を転じて他の大陸を観よう。まず濠州及びニュージーランドはどうであろうか。  
    年次      濠州 ニュージーランド
    一九一三年   二八二  二六一
    一九一四年   二七九  二六○
    一九一五年   二七一  二五二
    一九一六年   二六六  二五九
    一九二一年   二五○  二三三
    一九二二年   二四七  二三二
    一九二三年   二三八  二一九
    一九二四年   二三二  二一六
    一九二五年   二二九  二一二
    一九二六年   二二○  二一一
    一九二七年   二一七  二○三
    一九二八年   二一三  一九六
    一九二九年   二○三  一九○
    いずれも僅か十六年間に出生率の三○%あまりを失っている。
    欧州とは全く社会事情を異にせる南半球の白人国もまた出生率減退の例外ではない。
    ラヴィノウィッチ氏は右のごとき諸国の統計によって、世界のあらゆる国家及びあらゆる民族において出生率の減退をみると結論している。
    次に、米国はどうであろうか。
    この国は全国的に出生の登録が行われていないから全国について出生率の減退を直接示すべき資料はないが、各調査年度における総人口より純入国移民数を差引き、これと前の調査年度における人口と比較し人口の増加率を計算するならば大体において出生率の動きを知る事が出来る。
    これによれば一八八○年以来出生率は減退している。
    また最近の登録地域における出生率によるも年々出生低下を示せる事次表のごとくである。
    年次         人口千人に対する出生
    一九二○−二一年   二四・○
    一九一三−二三年   二二・五
    一九二四−二五年   二二・○
    一九二六年      二○・六
    一九二七年      二○・六
    一九二八年      一九・八
    一九二九年      一八・九
    一九三○年      一八・九
    Shirras, The Population Problem in India, Economic Journal, Mar., 1933., ページ63に拠る
    次に、南米方面は今の所アルゼンチンだけしか判っていないから同国についていえば一九一○−一四年の一年平均出生率は千人に付三八・九で自然増加率は二○・八という素晴しい割合を示していたが、一九三四−三八年の出生率は二五・○、自然増加率は一二・五と減少したのである。
    しからば吾日本はどうであろうか。
    年次         人口千人に対する出生
    一九一一−一五年   三三・五
    一九一六−二○年   三三・○
    一九二一−二五年   三四・六
    一九二六年      三四・六
    一九二七年      三三・六
    一九二八年      三四・四
    一九二九年      三三・○
    一九三○年      三二・四
    一九三一年      三二・一
    一九一六−二○年は世界大戦の影響により、一九一九年(大正九年)には三一・六と最低となり、その翌年は反動によるか三六・二となり、我国最高の記録を作っている。
    この期間における出生率の変動は世界各国にみる所である。
    従ってこの期間を除いて大観するならば、我国の大正末年までは大体において増加を示し昭和に入って落潮(らくちょう)に転じている。

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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