「健康 1号 発刊の辞」 

2020.02.14 Friday 08:45
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    「今回大日本健康協会なるものが生れ、その機関誌として月刊誌「健康」を創刊するに到った。
    その目的は何であるか…簡単にここに発表する次第である。
    世界も…日本も現在非常時である事に異論はない。
    愛すべき吾らの国家においても国防に政治に経済に、あらゆる機構が革新の産声(うぶごえ)を挙げようとしている…非常時はそれの母体であるともいえようが、ここにそれらよりも比較にならない程大きな非常時に遭遇している事に、誰しも気が付かないという惨事である…それは何か、健康の大非常時のそれである。
    結核、神経衰弱、弱体児童、近視眼、癌腫等々のその激増振りは、実に驚くべきものがある。
    西洋医学は進歩したというにも係わらず…事実はそれを裏切って停止する所がない、もし医学が進歩したとしたら、病者は減り病院は経営難に陥り、新聞紙から売薬広告は影を潜むであろう…眼鏡使用者と幼児死亡率の世界一は失墜するであろうし、結核療養所も精神病院も建増しは中止され、弱体児童の減少は誰もが愁眉を開くであろう。
    それがどうだ全然正反対の進行を続けている。
    これは何が故であるか。言うまでもなく医学衛生健康法に一大欠陥がなければならない事である。
    基礎医学もいい…黴菌発見も血清注射も必要であろう。
    しかしながら目前に跳躍している病魔の克服…これはどうすればいいのだ…泥棒の侵入を防ぐ研究も勿論緊要ではあるが、事実は今泥棒が室内へ入ってしまって、金品を持去ろうとしているのだ…要は当面の事態である。
    癌発生の研究に幾十年を費していて未だ完成しない。
    医学はその発生が完成してからが治療の研究である…恐らくその治療完成の時機は何百年先か判りはしまい。
    今…もし、直ちにあらゆる癌腫治癒の方法が発見されたとしたら、問題は即座に解決して最早研究の必要はない。
    又…医学上難治や不治とされる疾患が、発病後直ちに来る者は全部治癒される…実に治病率百パーセントの療病法が発現されたとしたら人類の幸福はどうであろう…勿論…医学は革命されるであろうし、病無き時代はここに実現されそれによる社会機能の幸福への改善は、蓋(けだ)し予想し難い甚大なるものがあるであろう。
    この…空前な大医術は、今やすでに完成して実行の緒につかんとしている。 (岡田仁斎)」

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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