「食餌の方法と原理」.2

2020.01.11 Saturday 08:58
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    又、近来病人に対し、芥子(からし)の様な刺戟的の食物を忌むが、これも大変な誤りである。
    これも人体に必要あればこそ、神が造られたのであって、辛味、香味などの味覚は、良く食欲を増進させるからである。
    又、今日の医学はある病気に対しては塩を制限し、ある病気に対しては糖分を禁止するが、これらも誤っている。
    なる程、それによって一時は軽快に赴くが、持続するにおいて逆作用を起し反って身体は衰弱し、病気は悪化するものである。
    次に咀嚼(そしゃく)について言わんに、良く噛む程いいという事は世間でも言い、又、多くの人もそう信じているが、これも間違っている。
    これについて私は、実験した事がある。
    今から二十年位前であった。アメリカにフレッチャーと言う人があった。
    この人が始めたフレッチャーズム喫食法と言うのがある。
    それは、出来るだけ能く噛む、ネットリする位まで噛めば良いというので、その当時大分評判になったものであるが、それを私は一ケ月程実行してみた。
    最初は非常に工合が良かったが、段々やっている内に、胃が少し宛弱ってゆくのが感じられ、それに従(つ)れて何となく、身体に力が薄れたような気持がするので、これは不可(まず)いと思って、元の食餌法に変えた所が、忽ち力を恢復したので、この実験によって、良く咀嚼するという事は、胃を弱める結果となり、大変な間違いであるという事を知ったのである。
    しからば、どの程度が一番良いかと言うのに、半噛み位が一番良いので、その実行によって、私の胃腸は爾来頗る健全である。
    次に、食物についての概念を知っておく必要がある。
    それは、魚でも、野菜でも、多く収れるものは、多く食うべきもので、少なく採れるものは、少く食うのがいいのである。
    例えば、夏季、茄子は非常に多く生る。又枝豆は、夏季だけのものである。
    故に、茄子と枝豆を、夏季は出来るだけ多く食うのが健康上いいのである。
    茄子を食うと、痰が沢山出るというのは、体内の汚物を、排除する作用があるからである。
    又、秋は、柿を出来るだけ食うべきである。
    柿は冷えるというが、冷えるのではなく、洗滌をする力があるので、それが尿の多量排泄となるからである。
    この理によって、特に秋の秋刀魚、松茸、冬の蜜柑、餅等などもよく、春の菜類、筍等もいいのである。
    次に、梅干について、特に注意したいのである。
    これは病人には絶対に不可(いけ)ないのである。
    元来梅干なるものは、昔、戦争の際兵糧に使ったものである。
    それは、これを食うと消化が悪いから、少量にして腹が減らないという効果によるからである。
    故に、ハイキングなどの弁当用としては、空腹を予防するからいいのであるが、運動不足である病人にははなはだ不可なのである。
    これは、酸味が強過ぎる為、胃の消化に対し、非常に故障となるものである。」 (「新日本医術書」より)
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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