「治療方法」

2020.01.05 Sunday 09:03
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    「今、療術を施さんとする時、術者は患者に膝を触るる位接近すべし。
    まず初め、拍手を三つ音のせぬ位軽く打ち、観世音菩薩を念じ、左手を患者の右肩へ軽く宛(あ)て、患者の頭を少し下げしめ、右手の人差指を以て、その頭脳の中心点へ向って「この者清まれ」と、三度空中へ書くべし。
    書くが否や直ちに口先にて、フーッフーッフーッと二、三度息を吹掛け、右手を開いたまま頭上一寸位の空中を、出来る丈速く左右に擦るようにしては息を吹きかける。
    この時間一分間位にてよし。
    最初にこれを行う訳は、元来、人間全体の根源は頭脳にあり、いわゆる病原の中府ともいうべき所であるから、まずこれを浄めて取掛るのである。
    次に患者に対って、既往の症状、経過、苦痛の個所等、成可(なるべ)く詳細に訊ね、それによって患部の病原を、指頭を以て綿密に探査しつつ、探り当てるのである。
    病原発見と共にその場所へ向って治療を施すのである。
    治療上の原則としては、最初患部へ向って右の人差指を以て、「この中清まれ」と三回書き頭脳の時と同じく、掌を迅速に摩擦するごとく動かすのである。
    この場合皮膚に触れてもよし、触れなくても宜(よ)いのである。
    かくのごとくして数回繰返し、指頭を患部に軽く当て、指頭に霊を集注させ、病原を溶すごとき心持を以て軽圧するのである。
    この場合病原はほとんど水膿溜結であり、指頭にて触圧せば多少の痛みがあるので、よく判るのである。
    かくして息にて塵埃(じんあい)を吹払うごとく、治療中、何回となく吹けばよいのである。
    これを繰返す裡(うち)に、病原たる膿結は必ず多少共溶解するものである。
    溶解しただけは患者は軽快を感じ、それだけ治癒したのである。
    ただし、右は原則を示したのであって、実地としては適宜、按配してよいので、場合により掌を利用してもよいのである。
    療術せんとする時首に懸る観音力御守こそは、霊光の受信機とも言うべきものであって、この御守を通して、観音力霊光が術者の指頭及び掌より放射参透するのである。
    次に施術する場合の心の持方について、一言せんに、この患者を治癒せば、観音運動の為になるとか、又は物質を提供するならんなど想像する事は、大変不可であって、ただ患者の病苦が除去され、治癒され救われるよう、念願するだけが良いのである。
    何となれば、観世音菩薩の大慈悲は、一切衆生を無差別的に救わせられる大御心であるから、人に依っての別け隔ては決して無いのである。」 (「新日本医術書」より)

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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