「肺結核」

2019.11.29 Friday 08:38
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    「まず患者の肩胛部及び頸部を指頭にて順次探るべし。
    その際必ず大小のグリグリを発見すべし。
    その際左右いずれかが多数又は大なるべし。
    その多大なる方の肺が病に罹りいるなり。
    又肩胸の辺りに掌を当つれば、その熱気の度合に依って患部がいずれにあるか及び軽重を識り得べし。
    又掌を胸部に宛(あ)てて深呼吸をさすれば、喘音を感ずるも、こは聴診器の診断と同一なり。
    又咽喉に喘音のある時、右側の場合に右肺を犯され、左側の場合は左肺を犯され、喘音大ならば、喀痰の量肺内に多く溜積され、喘音小なれば喀痰量小なる訳なり。
    次に声帯異常(皺枯声・しわがれごえ)及び、食物飲下時に痛みを感ずるは、多くは末期に際し、濃毒素を含む喀啖が喉道を通過する際、その毒素に依って粘膜を破壊、もしくは腫脹さるる為なり。
    次に肺結核特有の食欲不振の原因は、これ又案外の方面にある事を知るべし。
    この食欲不振の真因は、未だ医学上においては発見されざるならんも、余は無数の実験によってついにこの原因を識る事を得たり。
    即ちこの原因は胃部心窩部より臍の付近までを指頭にて軽く圧し見よ。
    さすれば強靭(きょうじん)にして弾力性ある、膿の凝結せるごときものを発見すべし。
    そは余の推定によれば喀啖の堆溜凝結せるものにて、余はこれを仮に水膿(すいのう)と名付く。
    この水膿の凝結が絶えず胃部を圧迫しつつある故に、胃の運動を妨(さまた)ぐる事はなはだしく、これが消化不良の原因となるなり。
    この場合余はその水膿凝結を指頭より放射する霊光に依って溶解消滅さするが、する度合に応じて、食欲は漸次進みゆくなり。
     これを以て結核患者の原因と目すべき部位は実は肺臓に非ずして、第一、肩胛部、頸部のグリグリ、第二、胃部の水膿の圧迫にして、医家が患部と目せる肺臓の個所は、その結果の現出部なるを知るべし。
    故に余はこの二点に意を注ぎ、この二点を霊光療法を以て溶解消滅さするにおいて、漸次快方に向い、第三期の患者にして全治せしめたる者多数あり。
    しかし霊光療法は、遺憾ながら、全世界中余一人のみの業なるべきを以て、この点いかんともなし難く、故に今後の医療としては、右二ケ所の水膿凝結をいかに排除すべきや、この研究が残されたる問題というべく、この排除法さえ解決すれば、さしも難治とされいたる肺結核をして、容易に全治され得る事を確言して憚(はばか)らざるなり。 (岡田仁斎)」 (「純日本医学の建設(一)」より)
     

    category:戦前の医学論文 | by:mistoshicomments(0) | -
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