自然栽培に就いて.1

2019.11.06 Wednesday 08:53
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     今までに本紙農業特集号を出したのは、一昨年と昨年と今回とを併せて三回になるが、年々自然栽培耕作者が多くなると共に、その報告も増え、今回のごときは付録として四頁(ページ)も増したくらいである。そこで報告書〔略〕を一々読んでみると、成績は益々よく収穫が増すばかりか、品質も良好となりつつある事で、これも当然とはいいながら喜ばしい限りである。それがため、この実績を見て今まで迷っていた農民達も次々自然栽培に切換えるようになり、一村で一度三十一戸の自然栽培者が出来たという事である。また新潟県佐渡ケ島での実績は、揃って初年度から優良で、信者ならざる農民層がどしどし増える状態で、この分でゆくと数年ならずして全島自然耕作となるのは太鼓判を捺(お)しても間違いはあるまい。しかも別項のごとく〔略〕農林省東京食糧事務所業務第二課長山川達雄氏のごときは、自然栽培を知った二年前から、現地の状祝を審(つぶ)さに調査の結果、予想外の好成績に夢かとばかり驚嘆したそうである。何しろ今までの学理とは全然反対であるから、直に理解が出来ないため、頭脳の困惑に悩んだとの話であるがさもありなんと思われる。
     以上によってみても、最早良いとか悪いとかの論議の時期は、すでに過ぎたといってよかろう。従ってもしまだ疑念を持つ人がありとすれば、その人は欲のない変人としか思えないのである。そこで大いに考えなければならない事は、現在我国における人口増加の趨勢であるしアレ程骨を折っている産児制限を尻目にかけて益々増える一方である。その上敗戦によって狭められたる国土の事をも思う時、到底安閑としては居れないはずであるにもかかわらず、私は昨年も一昨年もこの特集号を農林大臣始め、各大臣、国会議員、新聞社、全国の主なる農事関係者に配布したが、余り関心を持たれないとみえて、相変らずの誤れる農耕法を続けているのである。そのため一力年数百億に上る金肥は固(もと)より、農地改良費や奨励金等合計すれば実に巨額な支出となるのはもちろん、増産何年計画などといって大童(おおわらわ)になっているが、サッパリ効果が挙がらない事実である。しかもこのような計画は余程前から何回となく繰返しているが、いつも計画倒れに終っている。その証拠には昨年など豊作といいながら、平年作を僅か上廻ったにすぎないのであるから、最早従来の農耕法ではどんなに工夫し骨折ってみても駄目との烙印を捺(お)されている訳である。それだのに確実に大増産が出来る我自然農法を知らしても、蔑視してか研究しようとする気振りもない。それというのも宗教から出たという取るに足らない理由からでもあろうが、まことに困ったものである。そんな訳で政府は何だかんだと種々の対策を樹てては失敗し、年々巨額の人民の税金を無駄に費消しているのであるばかりか、米の輸入も年々増え、現在ですら年二千数百万石の輸入とその代金一千億以上を払うのであるから、寒心に堪えない国家的悲劇である。この悲劇の原因こそ長い間の肥料迷信のためである事で、別項多数の報告〔略〕によってみても充分認識されるであろう。そうして事実を目の前に見ながら、躊躇逡巡(ちゅうちょしゅんじゅん)躊(ため)ろう人も信者の中にさえ相当あるくらいであるから、その根強さは驚くの外はないのである。何よりも思い切って最初から私の言う通り実行した人は、予期通りの好成績を挙げ得たので、なぜもっと早く実行しなかったかと後悔するくらいである。
     

    category:自然農法 | by:mistoshicomments(0) | -
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