「脳疾患・病患と医学の誤謬」

2020.06.06 Saturday 06:55
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    右を説明してみよう。
    原因としては、夏日頭脳を炎天下に、長時間さらす場合、その刺戟によって、背部及び肩部付近にある毒素が急激に、頭脳に向って集溜するのである。
    そうして、その毒素が小脳中に侵入し、嗜眠作用を起こすのである。この病気が夏に多いこと、児童に多い事などは、右の理によるからである。
    そうして小脳中に侵入した毒素は、なお進んで眼球部及び鼻孔から排泄し、治癒するのであって、勿論猛烈な浄化作用である。
    しかるにこの場合、医療は主として氷冷を行うから、毒素はその局部に凝結して、排泄し能わざるに至り、嗜眠はそのまま持続し、終に衰弱死に到るのである。
    又脳脊髄膜炎という病気がある。
    これは高熱と共に、後頭部から延髄付近へかけて痛み又は引吊るごとく硬直するという、非常に苦痛を訴うるものである。
    以上のごとき病勢が執拗に持続し、食欲も不振となり、終に衰弱、死に到るのである。
    この病気の原因は、嗜眠性脳炎の一歩手前ともいうべきもので、即ち、毒素が小脳内に流入するまでに至らないで、その手前に集溜固結しようとするのである。
    故にこれが夏季炎天下に晒さるれば、嗜眠性脳炎となるのである。
    そうして脳脊髄膜炎も治癒に向う際は、その毒素は頗る多量の鼻汁となって排泄せらるるものである。
    次に、脳震盪(のうしんとう)であるが、これは高所から顛落(てんらく)するか、又は脳を強打された場合に起るのであって、内出血のはなはだしい場合、生命を失うに至るのである。
    内出血多量である場合は盛んに嘔吐をなし、又、耳孔から血液が滲出する事もある。
    二、三回位の嘔吐なら生命に別条はないが、数回以上の場合は、生命の危険を想うべきである。
    すべて脳に関した病気の軽重を知るには嘔吐の多寡(たか)が一番確実である。」 (「明日の医術 第2編」より)

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